介護士のキャリアパス制度の詳細

介護士の仕事の現状を振り返ると、賃金が低い、労働拘束時間が長い、仕事がきついなどの理由から、離職率や転職率が高い職種としても知られている。人手不足が顕著な職種の一つでもある。これからますます深刻になる高齢化社会に向けてより人材を確保すべく、行政がガイドラインを示したものの一つがキャリアパス制度というものだ。

キャリアパス制度を示した背景は前述したが、その目的は介護士の処遇改善にある。取得している資格や本人の能力、そして経験日数などに応じて適切にキャリアアップしていくことを可能にするための制度である。キャリアアップすればそれに伴って賃金が上昇し、介護士は将来的に明るい見通しを持って働くことができる。そうなれば離職者も減り、介護士になりたいという人が増えてくるのでは、という狙いもあるようだ。

また、キャリアパス制度を導入することにより、処遇改善加算が事業所に付与される仕組みもとられている。キャリアパス要件は3段階あり、全ての段階を満たすことでより多くの加算が算定される仕組みになっているのだ。処遇改善加算をとるためには事業所側も賃金規定を明文化したり働きやすい環境を整えなければならず、まだまだそういった環境が整っている事業所ばかりになったわけではない。

しかし、全てのキャリアパス要件について取得している事業所は、より働きやすい職場環境が整っていることを証明する指標にもなる。業務に見合った賃金や、定時での退社など、働きやすさに関する規定は就業規則にも反映されていなければならない。